渾身猫パンチ

書きたいときだけ息を吹き返す間欠泉

大河ドラマ「真田丸」第14回「大坂」

  • 先週、予告編(というか今後の展開おひろめ)で舞台ががらっと華やかに変わるところを見せられて、妻を死なせた悲しみからどうやってこの華やかさにもってくんだろう?とおおいに気になっていた。ら、越後から大坂に向かう道中の時間経過がそのまま信繁の気持ちの変化に使われていて、うまいなこんちくしょー、ってなりました。
  • 他人がなにを言ってもしょうがないという景勝さんの言葉どおり、誰が直接動かしたのでもなく、ただ時の経過だけが信繁自身の思いを「前に進むしかない」って結論に連れていったの、やっぱり信頼に値するドラマだと思ったなあ。そのために石川数正さんがちょっとかっこ悪くワリ食った感もあるけど(この裏切りエピソードについては「へうげもの」での描かれ方が私かなり好きなので)でも、信繁が目の前の人に言ってるつもりで自分自身に言い聞かせる言葉が、だからこそ目の前の人にも響いた、っていうのは、どうしたって泣けましたよ。
  • さて、それで大坂だ! うおー、なんかすごく異質な組織が現れた!
  • 徳川上杉北条、規模は違えど真田にしたって、代々続く武家という枠組みのなかにあったんだな、と。それぞれ個性のあるこれまでの登場勢力を「でも、これに比べたら大枠ではおんなじ」としてしまう予感の秀吉周辺。武家のなかに突然、急速成長中のベンチャー企業が出現した印象である。
  • っていうほどまだ描写はされてないはずなのだが、「石田三成の家でくだまいて寝る加藤清正」「よくわからない経緯で秀吉に目通りがかなう信繁」ってだけで、組織の規模の大きさと内部の人間同士の近さがアンバランスな感じ、びんびん来たんだよなー。あの信長に会うときでさえ、こんなへんてこな段階は踏んでなかったんだから。
  • 出てきたばっかりであれですが、この豊臣があの徳川に滅ぼされるとなると「古い勢力が新しい勢力に敗れる」というより「すごく新しい、それゆえに脆い価値観が、従来の勢力に結局は圧殺されてゆく」みたいな雰囲気もちょっと……。そのやるせなさを和らげるための権現様のラブリー造形なのかもしれませんが。なお今日の権現様も松ぼっくりに急襲されるなどラブリーであったが、信尹叔父さんヘッドハンティングの段では底知れぬ器の大きさも垣間見えた模様。
  • 石田三成初登場。というか、信繁と並ぶとどうしても「ひじかたやまなみ! ひじかたやまなみ!」と脳内の組!ヲタが騒いでしまうがご勘弁を。それを言ったら源さんもいたしそもそも関白様は彦五郎さんだ! 今年の豊臣家は多摩出身だ!
  • すいません。まあ私の脳内はおいといても、この三成とあの歳三、いまのとこけっこう重なる印象だ。
  • 三成の印象といえば、信繁ときりちゃんが揃って悪印象を述べているのに、兼続さんだけが「切れ者だし熱さもある」とプラスの踏み込んだ評価をしているのが面白かった。実生活の仕事の場面とかでも、ある人への印象が職種の違う人によって変わるってよくある。兼続さんの見る目が他の二人より肥えているというよりは、三成と似た立場ゆえに見えるものもあるんだろうなと。
  • 兼続さんといえば冒頭、信繁を慰めるってわけじゃないけど戦勝を褒めたりしていたな! 結局空気は明るくならなかったけど視聴者は見届けたよーわかりにくい励まし!
  • そしてきりちゃん! 先週「きりちゃんならこの幼子を置いていったりしないだろう」って書いた私の面子を丸潰れにしてくれてありがとう! うん、気持ちは嘘じゃなくてもできないことって人間あるよね……いいのよ……