渾身猫パンチ

書きたいときだけ息を吹き返す間欠泉

大河ドラマ「真田丸」第15回「秀吉」

  • オープニングで初登場の有名どころの名がぞろぞろ出てきて、これさばききれんの!?となったんですが。いやーさばきましたねえ・・・45分によくもこれだけ盛り込んだこと。
  • まずは、ちまたでは大天使とも評される景勝さんの翼をもがれたさまよ。身の丈に合わぬほど善き人であろうとして周りを振り回す安請け合い連発って私には天使というより真田丸一のロクデナシにしか思えないんですが(注:そんな景勝さんが大好きです)(補足:しかしロクデナシなんてことはみなさんわかっていてきれいに呼んであげているのかもしれない)そんな彼が今日はついに自分のろくでもなさと徹底的に向き合わざるを得なくなって、守るべきものを守るために身の丈に合った敗北を認めて、大人になった。悲しいけど、天使のままでいるよりずっと美しかった。
  • 真田の里では先週に続くお兄ちゃんの鬱屈。自分以外みんな誰かと確かな関係を築いている、と言いたげなしょんぼり顔のあと、二度目の正直でおこうさんの膝枕、ではなく、夫婦しての土仕事に慰めを見出した図にじんとしました。で、親父さん(膝枕はこっちであった。こちらもよき夫婦!)の言葉が予言として響くのね。
  • それにしても、自分の鬱屈でいっぱいいっぱいすぎる兄ちゃんの火柱完全スルーっぷりには笑った。あれやっぱり、泣いてるきりちゃんに自分の聞きたいことだけ聞いてたのも、「大名でもない父上に」三連発も、自分の関心事の前に場の意識が飛ぶってたちなんだな。
  • 先週に引き続き「ひじかたえのもと!」であったり「げんさんとしぞう!」であったりやかましい我が脳内ですが、三成さんは「殿下がつけた優先順位=自分にとっての優先順位」と無条件に切り替えられる人であるらしい、と新情報。なのですがしかし、私の勝手な印象として山本耕史っていかなる役でも「俺の/私の/僕の/麿にとっての優先順位とは」を考え続けてる顔に見えるので、三成さんの人間像を丸ごと飲み込めるまでにはもうちょっと時間かかるかも。
  • いっぽう今週のタイトルロール秀吉。落ち着きがなく、人の心の動きにさとく、明るくて冷たく、無邪気で女好き。すべて「いかにも秀吉」な特徴ではあれど、しかしこれ全部詰め込んだらフィクションは破綻するだろってくらいの振れ幅を1回で飲み込ませやがったー!
  • 振れ幅は広く、でも一言でまとめるなら、なんてこわい人かと。いままでの登場人物が多かれ少なかれ持っていたかわいげ成分がこの秀吉に限ってはゼロだ。かわいさはすごくあるのにかわいげはゼロ。
  • 人はここまでかわいげのない人間に忠誠を誓えるものか?と思ったりもしたが(対照的にたぶんかわいげだけが忠誠をもたらしている例:兼続さん→景勝さん)武力なり知力なりを自負する若者なら、それを正しく見抜いて用いてくれる人には心酔してしまうか。そんなとこも秀吉周りにベンチャー企業ぽさを感じる理由かも。
  • 「今が秀吉のてっぺんではないのか」という昌幸の読みは、読みの内容は当たっていたんだな。でもてっぺんがあまりに高ければ、下るとしてもふつうは下りきるまでに時間がかかるもので、信長のあれがトラウマっぽく作用してしまったのは不幸なことでありそうね・・・