渾身猫パンチ

書きたいときだけ息を吹き返す間欠泉

大河ドラマ「真田丸」第23回「攻略」

  • 合戦だ合戦だ! って、私そんな好戦的でもチャンバラマニアでもないはずなんですけど。なにしろ闇の上方暮らしが長かったもんでもー、小田原の空が見えただけで解放された気持ち。実際に剣を交える場面はほとんどなく、しかし人々が少しづつ異なる目的のもと動く空間の広がりは、間違いなく一大合戦の場であった。
  • 家康と立ち話をし景勝さんと出張先(?)で一杯やる父上、いつのまにか彼らとそんなに高低差のない振る舞いになってるよね? 苦渋の思いで秀吉に頭を下げ「わしはどこで間違えた」と声を絞った父上だったけども、あれで新しい時代に大名として残りおおせたっていうか今となってはどさくさにまぎれて成り上がった感すらあり、やっぱり間違えてなどいなかったのだ! 息子運がよかっただけな気もするけど、いやまあ。
  • そんな、わりと豊臣体制に適応してる主人を尻目に天下転覆をもくろんでた出浦さん。ちまたの感想で、先週の「聚楽第攻め落とせるぞ」は父上を慰撫するためのはったりだろうと見る向きが多く、あ、そうだったのか…な?と傾きかけてた私だが、やっぱあれもガチ本気だったんじゃないかと思うぞ。いみじくも信幸が今日「豊臣を滅ぼしてそのあとどうする」と言ってたけども、そのあとどうするか考えるのは自分の仕事じゃない、と思ってるタイプだ出浦さんは。
  • 後ろめたくて源次郎と顔が合わせられず、いっぽうで三成のイラッとするサムシングにはついにぶちきれる景勝さん、安定の器の大きい小物っぷりであった。
  • 納期遅れを咎める管理者と「そんなこと言われても」顔の現場の面々。わードラマのはずなのになんかやけに鋭いものが心臓に刺さるぞー(笑)。いつもいつも計画通りに進めばそりゃ現場は苦労ないっすよ!(なに思い出して喋ってんだ)とはいえ、予定が狂っておなかにきちゃうタイプだった三成にはおおいに同情が湧いた。
  • いっぽうジェントルマンだと思ってた大谷さん、なんとなく三成がいっぱいいっぱいになってるの楽しんでませんか。いや本当に窮地に立ったら助けてくれるみたいだけど、それまでは普段と違う顔をニヤニヤ見てるっぽくて、意外と意地悪で素敵(素敵なのかよ)
  • 基本的には主人公に大それた活躍をさせないこのドラマ、今回は大役が回ってきた。沼田裁定で対峙した江雪斎の意向で、同じく裁定の場にいた本多正信の後押し。やや「主人公のための段取り」って気もするものの、でもあの現場を共にした縁が生きてよかったと、救われた感じもする。裁定そのものの結果は実を結ぶことがなかっただけに。
  • あと北条氏政に12年前の芹沢鴨の面影を見たのも間違ってなかったようだ。私がへっぽこという言葉で表したものは彼らの「他者に屈することをよしとしない矜持」なのかもしれず、だとすればずいぶん無礼な表現なのかもしれない。だけど道を誤ったときに引き返せなかった矜持って物悲しくも滑稽なものだよ。滑稽で胸に迫ったよ。