渾身猫パンチ

書きたいときだけ息を吹き返す間欠泉

大河ドラマ「真田丸」第13回つけたし

  • 聡明だったはずの梅ちゃんが無謀といえる形で死を迎えたことについて、(私の観測範囲の)世間でも衝撃と議論を呼んでいる。曰く、説明に必要な場面が編集でカットされたのでないかとか、六文銭の子供は死の使いだったのでないかとか。
  • たしかに少し説明が足りないかなとも思ったし、あの子に会ってからの梅ちゃんは何かに憑かれたような奇妙な雰囲気をまとってもいた。生きながらもはや川を渡ってしまったような、あの空気を映像に捉えたのは賞賛されていいと思うけど、それはそれとして、死地に身を投じたのはあくまで梅ちゃんの自由意志だとも思っていたい。
  • 「私を守ってくださいね」と、男の子ががつんと来るであろう殺し文句でみごと愛を勝ち取った女の子が、実はぜんぜんおとなしく守られてることができなかったっていうの、策士と思いきやとんだ不器用で泣けるじゃないか。信繁が守れなかったんじゃなく、明らかに梅ちゃんが守らせなかったんだもの。これまで空気を読む聡明さばかりが描かれてきた彼女の、「我」はここにあったんだなって。
  • 細かい話をもひとつ。倒れている梅ちゃんの脚が、膝は揃っててそこから先が開いていて、その加減がなんか絶妙に「不幸な死体」だった。美しく揃った脚で死んでいたらいかにも芝居だし、大きく乱れていれば無駄なエロスが漂ってしまうだろう。膝から下が開いた脚は小さな子の駆け出す形みたいでもあり、その形に死の静寂がなんとも不似合いで、恐ろしかった。