渾身猫パンチ

書きたいときだけ息を吹き返す間欠泉

大河ドラマ「真田丸」第13回「決戦」

  • 「・・・悲劇が降りかかる気配だけども、そんなフラグを立てるだけ立てといて全部ぶん投げるのがこのドラマなのだった」って書けるかなと思っていたらー!
  • もう、でも、一度はせっかく死地を脱した梅ちゃんが結局死地へ戻っていってしまったの、まるでタイムトラベルもののSFを見ているようだったからな。運命は変えられない、だけどそのなかで悔いなく生きることはできる、的なテーマの。
  • 望まれた言葉を望まれたタイミングで言う才能を持つ梅ちゃんには、果たせる役割があるときに果たしにいけないことが何よりのストレスであったのか。大人の頭で考えれば、一番の役割は側室として母として安全な場所で待つことのはずだけど、リスク度外視で自分にできるすべての役割をこなしたいと思ってしまう、そういう形で梅ちゃんもまた子供であったのだと、この回で初めて見えた気がした。
  • 一方で、言及しそびれてたけど先週「源次郎様の行くところが私の行くところ」と静かに述べ、子供もしくはうざいヒロインのカリカチュアから一歩踏み出したきりちゃん。遺された子を、彼女なら(自分自身を大事にしてるのと同等のうざさで)大事にするだろうし、別件の使命感のために置いていったりは決してしないだろう、とこうなると変な安心感が湧くのだった。
  • 先週のきりちゃんと信繁には、そういえば織田→木曽人質道中ではてんで生じなかった絆も初めて生まれていたね。信繁にとって「私が大事にすべきものを大事だと断固主張してくれる人」がきりちゃんなんだ。そういう形で連帯が現れるのは、なんか、いいな。
  • 一話を通して合戦の描写。例によって、武器庫を一歩も出ないで戦を描くみたいな手法を得意とする脚本家が、こんなにも正面突破で合戦を!と何様だ目線で感慨にふけりました。ロケも多かったし、戦場にちゃんと広がりを感じた。広がりがあって、かつ、人が生活している場が戦場になってると伝わってきたなー。だからこそ、そこで敗勢の兵たちが総崩れに討たれるさまがリアルに無残であった。
  • ほんと無残だったんだけど、それをきりちゃんが「もう戦なんてもんじゃないわね」と正確に評し、信幸・信繁兄弟が真摯な顔を背けずにいたからぎりぎり悪趣味になってなかった、くらいの。難しいバランスをよくぞ取ってると思う。
  • それはそうと直江さん! ええかっこしいだけど実行力の伴わない殿様に、頼れる返事をしといて実態はそれって、とっても似合いの仕打ちだとは思うけど、思うけど・・・! ブラボー!()