渾身猫パンチ

書きたいときだけ息を吹き返す間欠泉

大河ドラマ「真田丸」第12回「人質」

  • これまで、食うか食われるかの争いをあっけらかんとしかし殺伐と描いてきたこのドラマ、今回は少しばかりのんびりしたトーンになった。最近の大河ドラマみたいって思いました(嫌味か)
  • 信長登場の回で私、これから主人公がこの英傑に気に入られて胸襟を開いて語り合っちゃったりするのかしら嬉しくないけど、などと思ったものですが、まさにそういう展開でありましたね。でも、そのとき危惧したほど安直な印象は今回はなかった。ネームバリューのある英傑ととりあえず接点作っとけって作劇ではなく、史実で人質やってるんだから親交が深まって不思議ではないし。
  • ただそれでものんびりっていうか、これまでこのドラマが持ってた命のやりとりの緊迫感が若干薄まってシットコムみたいになってたのは、まあそれが上杉家の家風なんだろうなあ・・・と思うに至りました。衰えたとはいえ大国で、海に面しているぶん敵の数も少なく、命の危険が当面ない程度には恵まれていると、まあ、当主の悩みもあんまり切羽詰ることなく、観念的なものになるのかも。
  • しかし景勝さんについて「ええかっこしい」という属性が明らかになったのはわりと衝撃的であった。騙されやすいとかお人よしとかよりずっと辛辣な評価を脚本に下されてないか。
  • 当主のかっこ悪さが前面に押し出されたぶん、それに従う直江さんがちょっとだけお茶目に見えてもきた。「(お館様がやる気を出したおかげで)わしの仕事が増えたー」の「たー」にいわく言いがたい味わいあり。語尾のひねり方だけでおかしみを出せるのは一流の役者さんの証であるなと。
  • あと、最初に陳情を聞いてた人とか、鉄火起請の人とか、小役人の面々が妙にいい味を出してたなあ上杉家。
  • 上杉家にはない緊迫感が、真田家の場面に変わると梅きりの会話ですら立ちのぼったので、やっぱ家風の問題だなと思う。そして梅ちゃんのものすごい大博打に絶句。昌幸>>梅ちゃん>>(越えられない壁)>>信繁、じゃないのかこれ。
  • どうも次回はそんな梅ちゃんにとうとう悲劇が降りかかる気配だけども・・・