渾身猫パンチ

書きたいときだけ息を吹き返す間欠泉

空を飛ぶには最高の日

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1月3日がお誕生日で実に90歳を迎えられて、そんな大きな節目にしてはあまり動きが伝えられないなあ、と、なんとなく寂しさの予感を抱いてはいました。

サー・ジョージがどんなことを成した人で私がどんな人だと思ってるかについては、このブログの2009年あたりを読んでもらうとして(そしてあきれてもらうとして)大好きな逸話をひとつおいておこうと思います。
2011年にBBCで放送されたドキュメンタリー。

これの特典映像で、ジミー・ウェッブ(名曲"Up, Up and Away"等を書いたソングライター)が語ったアルバム製作中のエピソード。

グライダー操縦を趣味としていたジミーがほんの思いつきで「クレイジーかもしれないけど、曲に僕のグライダーの音を入れられないかな」と言ったら、ジョージが(ここであの高貴な声音を真似するジミー)「いや、クレイジーではないよ」と乗ってきたと。
「それなら滑走路に45メートルごとにステレオマイクを置いて…いや90メートルごと、いや60メートルだな(ここの数字を細かくつめてくのが笑える)」とどんどん話が具体化し、ジミーは高度3000メートルから5メートルまで急降下してマイクの上を飛んでいくというスタント飛行をやるはめに。
「マジかよ!って思ったんだけど」
ジミーは語る。
「もしパラレルワールドがあって、もうひとりジョージ・マーティンがいたら、そっちのジョージは反対したと思うんだよ。(ここでまた、いかにもおごそかな高貴な物真似)『そんなことは危険すぎる、クレイジーだ』って。でも僕の生きてる、この世界のジョージ・マーティンは」

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「『飛ぶには最高の日だね! きっとうまくいくよジミー』って」


緻密な準備の甲斐あって録音は一度で成功し、グライダーの飛翔が曲に刻まれたのでした。


Jimmy Webb - If You See Me Getting Smaller I'm Leaving (1977, Atlantic)

これからも変わらず大好きです。