渾身猫パンチ

書きたいときだけ息を吹き返す間欠泉

第13回つけたし

  • 昨日書いた「かっこ悪いのに「格」では負けていない」。ちゃんとかっこ悪かったことも重要なのである。負けないことに力点置きすぎてかっこ悪くなれない二枚目俳優では困るのだ、ここでは。
  • 川から汲んできた水だと言う土方に「よくわかったな」と返す新見。その一言で、自ら既に消火の算段をしていたことが知れる。いいな。いいぞ。ドジョウも獲れると付け加えるぱっつぁんもいいぞ。
  • そういえば土方語録はもうすっかり大河の名物だが(そうなのか)、なにげにぱっつぁん語録も伸びてきている。「(組違いで呆然とする源さんに)年齢別ということは?」「(途方にくれていたと言う勇に)見ればわかります」男前の上に直球かよ。最高だよ。
  • って、源さんいつのまに先番に! もうーさびしがり屋さんなんだからー(源さんには甘い)
  • よその感想を覗いてなるほどと思ったのが、土方は近藤の力量を、芹沢への応対のしかたで計っていたのではないかという意見。確かに、友達としてどれだけ情があっても、上に戴く価値があるかはまた別だ。長い付き合いだからある程度見通しはあるし、そうでないと「あんたに賭ける」なんてことは言えないが、結果は現実になってみないとわからない。
  • 文字通り「賭け」だったからこそ、勝って「俺たちが思っていた以上に大した器らしいぞ」の一言が出たのかも。と思うと、こっちまで心躍るなあ。無条件の信頼に行き着くまでの、条件付きの、つまり根拠のある信頼の積み重ね。友達なのに条件付きなんて冷たいと思う人もいるのかな? でも私はそれを美しいと思うよ。もっとそういうのを見ていきたいよ。
  • そしてメタに話は飛ぶが、三谷から(いや駄洒落じゃなくて…ってわかりにくいか)脚本を通じて役者たちに託されているのも、同じ種類の賭けなのかもしれないなと。たとえば今回、山南さん(だからどうしてさん付けに)の見せ場を書いたのは三谷だが、あれだけの緊張感ある画面に仕上げたのは堺雅人の佇まいだ。役者当て書きと言われる脚本だけれど、それだけに「最後はあんたに賭けます」と役者に信頼のバトンを渡している、気がする。
  • で、そのバトンを渡された面々のなかで、主役たる香取慎吾が余裕のトップを切ってゴールしているかというと、まあ全然違うのが現状だとは思う。いや、脇を固める山本耕史堺雅人があんまりにも俊足ランナーだしねえ。香取の場合、水泳チャンピオンが陸上制覇を狙ってるようなもんだとも思うので、一視聴者はただ、見守っていきたいです。
  • それに贔屓目かもしれないけど、近藤先生のぎこちない喋りを見ていると「香取が勇の台詞を言うのがぎこちないのか? それとも、島崎勝太が近藤勇の台詞を言うのがぎこちないのか?」と思うこともあるからさ。それに「…もう、いっぱいなんだ」は、本当にかっちゃんの真情に溢れていた。やっぱり大したもんなのかもしれないよ。