渾身猫パンチ

書きたいときだけ息を吹き返す間欠泉

大河ドラマ「真田丸」第1回「船出」

  • どうやらホームドラマである。あるんであるが、ひとつ間違うとそのホーム成員皆殺しになりかねない環境下でのドラマである。ちょいちょい挟まるコミカルな場面が、むしろ「人間そんなに緊張の中でだけ生きていけないよね、緊張が高まるほどおちゃらけたりするよね」という説得力を添えてくる。
  • 三谷幸喜ドラマでそんなかっこいい戦場ドラマみたいなのが見られるとは思わなかった。いや、思いきりえらそうで申し訳ないが正直な気持ち。
  • 私が「新選組!」大好きであることはここをご覧になれば疑いの余地はないと思うのだが、でもそんな私は「新選組!」に「命のやり取りが日常であるがゆえのかっこいい軽さ」はなかったと考えている。そういうのを描くための題材でもなかろうし。どっちかというとあれは「コミカルな日常で生きていけたはずの若者たちが命のやり取りに踏み込んでいく」という構造だ。
  • そもそも、三谷脚本がシビアな題材を扱うときにはわりとそういう構造が多いような。笑いを交えて日常を描いていきながら、いつしかその日常の裂け目にぞっと冷たいものが覗く、という。冷たいものが全開になったときには笑いは引っ込んでしまう。
  • ついでに言えばその「ぞっとさせ方」が肌に合わないことも私個人にはあって、苦手な作品を生じさせたりするのだったばんぷしょうとかべっじぱーどんとか以下略。
  • 閑話休題。だから、最初から「冷たいものって世の中にありますよね」とどんと提示しておきながら、それでも笑うことを忘れないでいようって心意気が感じられたこのドラマの幕開けに私はびっくりしているのでした。なんか大きくなったな三谷!と。ほんとえらそうで申し訳ないが正直な気持ち。
  • その大きさをもっとも体現してる気がする草刈正雄真田昌幸。なんてすてきな食わせ者! 動かぬ真心はありつつ去就はその場でまあころっころ変えていく彼が、浅間山の噴火にはさすがに絶句する顔にめっちゃ笑いました。
  • そして主役なんだけどまだまだ青二才として埋没している真田信繁。埋没してるけどときたま見せる切れ者具合が、主役の片鱗というよりは、脇役の見せ場っぽくて個人的にはむしろ好ましい。(脇役みたいな主役好きなんです。局長もそんな人だったさ)個人的な話をおいといても、物語をひっぱっていく人が主役だけではないっていうの、大河ドラマの醍醐味ではないかと思う。
  • てなわけで、完走できるかまだまだわかりませんが12年ぶりに大河感想に戻ってきましたよ。