渾身猫パンチ

書きたいときだけ息を吹き返す間欠泉

大河ドラマ「真田丸」第19回「恋路」

  • ひとつ意外に思ったのは、秀吉が信繁の「蔵になど入ってない」という弁明を信じていたこと。てっきり、嘘とうすうす知ったうえで茶々の気晴らしにあてがってやってるのかと思っていた。
  • これまでの秀吉の政治的な采配から考えればそのくらいの腹芸はありだろうと踏んだんだけど、いくら信繁を気に入っててもそこまで気を許してはいなかったか。というか、茶々への執着は腹芸の入る余地などないものだったか。
  • これまで、くるくる変わる言動のどれが本心なのかぜんぜんわからないことがこわさの一翼を担っていた秀吉の、茶々を手に入れたいという気持ちだけは本心であると伝わってきた今回である。応援したくなる純愛なんかではまったくないにもかかわらず、初めてはっきり本心が見えたことであの秀吉になんとなく親しみを感じちゃったりしているから恐ろしいわ。
  • それで、寧さんにとっての秀吉はそういう「あれがほしい、これがほしい」とつねにすなおな欲望を見せる男なのかもなと思った。こわさなんか微塵も感じないんだろうなあ。だから、好きな子には正面からぶつかんなさいなんてお母さんみたいなアドバイスまでしちゃうのね。それでよもや話が通っちゃうとは予想してなかったようだけど。
  • 一応は「力を合わせてゆきましょう」などと正室らしい言葉をかけながら、表情にまるで余裕のない寧さん。お姑さんを人質に出すとき反対したのと同じく、武家の気持ちにはなれない女性なんだなあとかわいそうになった。
  • 対置して描かれる徳川→真田の嫁押し売りだって、関係者一同(家康以外)誰も喜んじゃいないわけだが、でも「しかたない」という腹のくくり方をしているのが寧さんとは違う武家のたたずまいだよなあと。でも濃淡にかなり差がある「しかたない」のなか、一番文句たらたらなのが、ふだんは一番武家らしくあろうとしてる信幸なのが心温まったりはしますね。
  • それにしても先週に引き続き家康め。口むにーってするぞ! 先週今週とだいぶわるものポイントが溜まったので来週くらいには派手に吠え面かいていただきたい(ゆがんだ愛情)。
  • 予告だったかで寄り添う秀吉と茶々の場面を見たので、側室に上がるまでのどこかで心を通わせてたりするのかな?と推測したが、そう簡単な展開にはならなくて安心した。私が感じたように茶々にも秀吉の必死さが感じられたのなら、一種の心が通じたとはいえるけれど。
  • 側室に上がる以外の選択肢はないとたぶんわかってて、でも「いくつかの選択肢はありえた」と自分に言ってあげたかってるかのような茶々のふらふらした行動に、ちょっと「ローマの休日」的なお姫様の面影を見た。
  • 誰かが自分を自由にしてくれるのを夢見た茶々の気持ちも、その危うさに引き込まれた信繁の気持ちも、「路」がくっきり見えるほどの「恋」ではなく。タイトルに見合う熱情を持ってたのはちっちゃいこわいおっさんだけという救われないお話。
  • あっ迷わず花を食べちゃうきりちゃんがいたよ! やっぱりきりちゃんにいまは癒されてるよ!