渾身猫パンチ

書きたいときだけ息を吹き返す間欠泉

第12回 西へ!

  • お見事!
  • 珍しくもストレートな賛辞で始めてみた。別にびっくりマーク3点セットでまとめたわけではなく。
  • 近藤をワンノブ浪士としか思わず役も与えない清河、それでは近藤の体面が立たないと一計を案じて金を渡す土方、その金が入ったおかげで佐々木只三郎に小意地を張ることが叶う清河、一方で曲がったことを嫌いつつも土方の策を呑む近藤…と、こちらの事情があちらの事情に転がるように繋がりながら、それぞれの立場と性格が綺麗に浮かび出た。ついでと言ってはなんだが、お琴がただの馬鹿女ではなく一途に歳三を慕っていること、殿内義雄の憎めなさまでこのエピソードに付随して明らかになったし。いや、お見事。
  • 江戸を立つ別れの日ともあれば、どう描いたってある程度ドラマチックにはなるだろう。そうであるところにあえてドラマチックの舞台裏、足袋忘れたーとか予定が変わって係おおわらわとか、そういう旅立ちの些細な現実を混ぜ込んで、より臨場感を高めたあたりはさすが「神は細部に宿る」を座右の銘とする脚本家かと。
  • ところで「池田屋事件祇園祭の時期に合わせて放映する」という制作の目論見を聞いたけれど、もしかして今日の回も、年度替りのこの時期を見越して書かれたのだろうか。組割りの発表はなんだか合格発表やクラス替えを見ているようだったし、知らない顔どうし肩を並べて江戸を出てゆく浪士たちに、自分を重ね合わせた新入生や新入社員もいるはず。
  • あと、おみつさんの告白とかね。別れの季節の、すべて片付いた後にこういう会話ってあるよね。いままで多少は「出しすぎじゃないのか?」と疑問の対象だったおみっちゃんだけど、「かっちゃんが頼りになったから、私は子供でいられた」と言われちゃあなー。来し方を思ってじんと来るしかなかったです。沢口靖子も、お見事。
  • 新登場、野仲功(役名失念)。勇を見て何か含むところがあるのかと思いきや、単に説明の二度手間にうんざりしただけだった。ああ、こういうスケールの小さい実務屋さん大好き。それが野仲さんでなお楽し。
  • 一人仲間外れで可哀想な源さん。しかし、いつも柔和で穏やかな源さんの慌てる姿が見られてちょっとお得感も。(←かなり偏った愛情)
  • あと山南さんがでっかい声を出していたのでびっくりしました。うわーうわー山南さんなのに野太い声だよー、とそれだけで大笑いしてしまった私は非道い人間でしょうか。
  • 芹沢鴨、今日から早くも小爆発。どうも「天地ひっくり返る」のころはあんまり暴れん坊の印象がなかったが、あのときは猫かぶってたのか? それとも2年で性格曲がったのか? ただ、どっちにしても人に飯を食わせたい人なんだなとは理解した。