渾身猫パンチ

書きたいときだけ息を吹き返す間欠泉

大河ドラマ「真田丸」第5回「窮地」

  • 今期大河、好評とともに「三谷ドラマならではの軽妙さ」といった声がたびたび聞こえてくるが、繰り返して申し訳ないが私は今期の軽妙さ、いつもの三谷ドラマとはすこし毛色が違うと思っている。
  • 私の考える三谷ドラマの軽妙さは、たとえば戦国の世が舞台であっても、戦そのものは出てこない、たとえば武器庫で足軽たちが延々と会話するだけみたいな作風だ。戦乱はホリゾントの向こうにひとまずおいて、描かれるのはささいな人間くささ。鬨の声が聞こえ、足軽たちが武器庫を出るときがきたらそこで終わる、そんなのが典型的な三谷ドラマだったと思っている。
  • 対して、すぐそこに命の危機をきりきり感じながら、それでも「押し通ります!」「またか!」わーっと半泣きで駆けてゆく、そんな爽快感は今回が初めてだと、何度でも称えていきたい所存なのだ。あ、命のやり取りの絡まないテーマならいままでにも爽快な話はあったけどさ。
  • で、なんでまたその話を蒸し返したかというと、かような「真田丸」のなかにあって今回の滝川一益さんひとりが、とっても従来の三谷ドラマのペーソスをかもし出していたからである。もちろん命のやり取りをくぐり抜けてきた武将のはずなんだけど、ドラマの登場場面においてはひとりだけ戦の外にいる。場違いにのんきな表情になぜだか泣けもして、こういう笑いもやっぱりいいよなあと思うのであった。
  • そしてたびたびたび12年前の大河の話で申し訳ないが、桜田門外の変の回のとき、私こんなこと書いてたんですね。

tammythehermit.hatenablog.com

  • 今回の本能寺の変さー、このへんの欲求がまさにもう満たされていて! 歴史的大事件がその場で見聞きしたことだけで描かれていて! 十代だし次男坊だし十代だから(強調するな)なかなか手柄の上げにくい主人公信繁が存分に働く機会ともなり、大満足でございます。
  • 「本心をお聞かせください」と父に迫った一徹者信幸、しかしだんだん諦めの境地も会得してるのか、海見たことありません発言はもはや流してた。
  • いやそれにしても「押し通ります!」またか!ってテレビの画面につっこんだら家康も「またか!」ってかぶせてきたので爆笑しました。今日は10分にいっぺんくらい画面に出てきてはわーって半泣きで走ってたね……こんなにかわいい徳川家康を見たのは初めてだし、こんなに足腰の据わってない内野聖陽を見たのも初めてだね……